「プラチナNISA」「こどもNISA」構想~資産形成の新潮流になるか!?~

近年、個人の資産形成への関心が高まる中、金融庁では新たなNISA制度の構想が進められています。

それが「プラチナNISA」と「こどもNISA(子ども支援NISA)」です。

運用効率が悪く長期投資には向かないという理由で、新NISA(少額投資非課税制度)から外された“毎月分配型投資信託(以下、毎月分配型)”を、65歳以上限定で使えるようにするらしい・・。

さらに、規制が多すぎて利用が低迷し、2023年末に廃止された”ジュニアNISA”の代替制度として「子ども支援NISA(以下、こどもNISA)」まで構想が浮上しています。

新NISA制度とは異なるこれらの新しい制度は、私たちの資産形成のあり方を大きく変えるかもしれません。

今年の年末に公表される与党税制大綱に盛り込まれる見込みで、最速で2026年1月から導入を検討しているこれらの新しい構想のNISA制度。

その概要とメリット・デメリットについて読み解きます。

より豊かな老後を目指「プラチナNISA」

「プラチナNISA」は、主に高齢者層や退職世代の資産形成支援を目的とした制度として構想されています。

長期的な資産形成には不向きという理由で、新NISAでは対象外の“毎月分配型”投資信託を「プラチナNISA」では対象にする方向で調整を進めています。

“毎月分配型”は、毎月あらかじめ決められた日(=決算日)に分配金が支払われるタイプの商品で、分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類があります。

 普通分配金:利益から支払われる分配金(課税対象)
 特別分配金:自分が拠出した元本を取り崩して支払われる分配金(元本払戻金のため非課税)

このように分配金の課税方法が複雑にもかかわらず、2000年代後半から2010年代にかけて、「年金の足しになる」「お小遣いがもらえる」といった感覚で、高齢者層を中心に人気があった商品です。

いざ、解約する際に初めて元本割れしていたことを知った、特別分配金の方が(受取額が多く)得だと思っていた、分配金は必ずもらえると思っていた、そもそも分配金の複雑な仕組みを知らなかった・・・といったような苦情が金融機関に相次いだ苦い過去があるのです。

このような背景があっても、金融庁が構想を急ぐ要因の1つとして、2025年に団塊世代が後期高齢者になり、これを境に日本の超高齢化社会がより深刻化していくことが挙げられます。

労働力不足や社会保障費増大といった課題を抱えつつ、2040年には高齢者の割合がピークを迎えるのです。

今後、年金だけでは生きていけない高齢者層の増加を見越して、今から「プラチナNISA」を創設して自分年金づくりを進めたい意図があるのかもしれません。

構想段階ではあるものの、高齢者は年齢とともに判断力や金融リテラシー低下の傾向があります。

本人が理解しないまま「毎月受け取れる」というメリットだけで、分配率が高い(=価格変動リスク等が高い)商品に安易に投資しないような制度になってほしいものです。

未来への希望をはぐくむ「こどもNISA」

「こどもNISA」は、名称のとおり、子どもの将来に向けた資産形成を親などが支援することを目的とした制度です。

ジュニアNISAの失敗を教訓にして、教育資金や将来の自立のための資金準備を、非課税でサポートする仕組みとして期待したいところです。

基本的な枠組みは新NISAに準じる方向で調整が進んでいるようですが、教育資金目的など一定の目的以外での引き出し制限が設けられる可能性はありそうです。

一方で、主に親権者が運用を行うため、金融知識や適切な判断が求められるものの、高校生の金融教育義務化が2022年4月から始まっており、子どもの金融リテラシー向上の一助になりえる制度になるかもしれません。

また、日本では高齢者層の現金保有比率が高いといわれており、「こどもNISA」創設により、次世代への資産移転(贈与)促進の意図もありそうです。

新しい構想のNISA制度と新NISA制度

資産形成に向けたNISA活用

PR TIMESで、リサーチデータが公表されていますが、「プラチナNISA」認知度50.3%、高齢者層の利用意向は約5割、「こどもNISA」は30代以下の7割が利用意向の回答をしています。

▼PR TIMES『オカネコ新NISA及びプラチナNISA・こどもNISAに関する意識調査(400F・2025年4月23 日)』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000225.000038217.html

構想段階にもかかわらず意外に認知度が高い結果に驚きましたが、それぞれのライフステージや目的に合わせた資産形成をサポートする制度として期待したいところです。

個人的な意見ではありますが、腑に落ちないのは、新NISAでも”成長投資枠“で、年1回、2回、4回など受取型の投資信託を購入することは可能です。

投資信託をうまく組み合わせれば、毎月分配を受け取れるような仕組みを作れます。

65歳になってから別枠で「プラチナNISA」を使える、「こどもNISA」で未成年口座を作る・・・ではなく、もっとシンプルに、新NISAの内容を、年齢に応じて制限や条件をつけてアップデートするだけで良い気がするのは、きっと私だけではないはずです。

最後に、投資にはリスクが必ずついて回るので、ご自身のライフプランやリスク許容度に合わせて、各制度を上手に選択し利用することが重要です。

新NISA制度の際にも当初の構想が大きく変わって制度に落ち着いた経緯があり、今後の金融庁の動向に筆者も注視していきます。

※本コラムは2025年5月30日現在の情報等を元にまとめています。構想段階の制度のため、情報の正確性や所感が混ざった構成になっております点、あらかじめご了承ください。

※弊社では、ゴールベースアプローチの考えに基づいて、お一人お一人に合わせてライフプランシミュレーションやポートフォリオ分析ツールを用いて、資産形成をサポートしています。お気軽にオンライン面談でご相談ください。

投稿一覧へ戻る

資産運用なら
マネーパレット

マネーパレットは「お金、家族、叶えたいこと、心配事」など
あなたの資産運用をプロのファイナンシャルアドバイザーに
無料で相談できるサービスです。