2025年の相場はどうなる?~干支の格言「巳年天井」~

早いものであと数週間で2024年末を迎えますが、いかがお過ごしでしょうか。
今年を振り返ると、日本では3月にマイナス政策金利を解除し7月に追加利上げを実施、11月には米国で大統領選のトランプ再選など、金融市場に大きく影響を与える出来事が多くありました。
来年も引き続き多くの出来事に金融動向が左右されそうですが、今月は「干支のアノマリー」で読み解きます。
2025年の相場はどうなる?~干支の格言「巳年天井」~
干支にまつわる相場の格言をご存知ですか?
十二支の各年によって株価の動きに一定の傾向が見られるという経験則(=干支のアノマリー)を格言であらわしたものです。
「子(ね)繁盛・丑(うし)つまずき・寅(とら)千里を走り・卯(う)跳ねる・辰(たつ)巳(み)天井・午(うま)尻下がり・未(ひつじ)辛抱・申(さる)酉(とり)騒ぐ・戌(いぬ)笑い・亥(い)固まる」

これらの干支格言は先人の経験則から生まれたので、論理的な根拠はなく格言を鵜呑みにして投資するのは賢明ではないものの、意外と的を射たケースも少なくありません。
卯年の去年は12月に相場がピョンと跳ねて上昇し、辰年の今年は米大統領選や日銀の金融政策変更(金融引き締め)などマーケットに影響を与えるイベントを通過し、年末まで猶予があるものの上昇相場です。
過去の例では、1988年に不動産バブル、2000年にITバブル、2012年にアベノミクス・・・といずれも天井をつけた様々な事象がありましたが、これらの影響は必ずしも一貫したものではなく、他の経済要因や市場環境によって大きく左右されます。
例えば、2022年の寅年は「千里を走る」とされていましたが、実際には世界的なインフレや地政学リスクなどにより、日経平均株価は年間で9.4%下落しています。
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
これも相場格言の一つですが、相場は人の感情で市場の思惑よりも大きく上下に振れることがあります。
警戒感が薄れて楽観的になった頃には、相場の天井圏であったということもよくある話ですが、市場が強気相場で賑わっているからまだまだ儲かる・・・と楽観視して、手を出す方が多いのも事実です。
市場が「あきらめモード」で弱気相場になったときこそ、大きなチャンスなのですが、「もっと下がるかもしれない」という悲観的な感情に支配され、なかなか動けないものです。

却って「これ以上下がるのが怖いから、損が大きくならないうちに売却しよう。」という感情が強くなって手放す人が多いですが、日経平均株価チャートを見てもずっと下がり続ける相場はないことは一目瞭然です。
10年以上前になりますが、米国のとある経済番組で、最も良いパフォーマンスを出した口座は「口座を持っていたことを忘れていた人」だったという話があるように、「●●ショック」の時こそ手放さず時を待った方が良く、市場のセンチメントに惑わされず、冷静に判断することが大切・・・というのがこの格言の教訓でしょうか。
2024年の辰年相場
2024年の辰年相場は、干支の格言「辰巳天井」の格言通り、好調相場展開で終わりそうです。
✔日銀の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げ
✔年初来の上昇率は約16.9%
✔戦後の辰年相場の年間騰落率(平均+28.0%)に及ばなかったが良好な推移
<2024年相場の主な要因>
・割安な日本株への再評価
・インバウンド需要の回復
・円安による輸出企業の業績改善
・米国大統領選による株価市場への影響
新NISA(少額投資非課税制度)の開始により、「貯蓄から投資へ」の流れが加速したことも株価上昇を後押した要因の1つでしょう。
来年に向けて、年収103万円の壁引き上げ議論のスタートやiDeCoの一部上限額引き上げなど、2025年も引き続き「貯蓄から投資へ」を加速する策が講じられそうです。
2025年巳年の展望
2025年の巳年も、「辰巳天井」の格言に基づけば、引き続き好調な相場が期待され、一部のアナリストは「2025年日経平均株価5万円」への道が見えてきたと予想していますが、以下の点に注意が必要です。
過去のデータでは、巳年における日経平均株価の平均上昇率は+14.1%、直近の巳年である2013年には、日経平均株価が+50%超という大幅な上昇を記録しました。

2025年の天井値に影響を与える要因としては以下のことが考えられます。
①米国大統領選の影響
辰年は米大統領選と重なる年であり、選挙前の景気刺激策が株価を押し上げる傾向があり、巳年はその反動が懸念されます。
②金融政策の転換
日銀の異次元緩和からの脱却が急速に進む可能性があり、その成否が日本株の行方を左右する可能性があります。
③企業改革の進展
東証主導の企業改革の成果が現れ始める時期であり、個別銘柄の選別がより重要になると予想されます。
④新NISA制度の定着
2024年にスタートした新NISAの効果が本格化し、個人投資家の動向が注目されます。
辰巳年天井になるのか?
2024年の辰年相場は格言通りの好調な展開となり、2025年の巳年も引き続き堅調な相場が期待されますが、相場環境の変化や不確定要素も多く存在するため、投資家は慎重な姿勢を保ちつつ、個別の投資判断を行う必要があるでしょう。
2025年の巳年相場は、「辰巳天井」の格言通り、引き続き堅調な展開が期待されそうですが、米大統領選後の反動や金融政策の転換など、不確定要素も多く存在します。投資家は、これらのファクターを注視しつつ、企業の個別要因にも十分な注意を払う必要があるでしょう。
投資家は干支相場のアノマリーを参考にしつつも、他の経済指標や市場分析と併せて総合的に判断することが重要です。このアノマリーは投資の一つの視点として捉え、過度に依存しないことが賢明です。
それよりも大切なことは、ご自身の人生の中で「いつまでにどれくらい資産形成すればよいのか」、夢や目標に向けた計画的な資産形成の方法を考えて実践することでしょう。
相場に一喜一憂して失敗するよりも、お金の課題解決については、金融のプロであるIFAに相談してみてはいかがでしょうか?