
【CASE2】ある程度の金融資産ができたので、早期退職(サイドFIRE)して自由な働き方を考えています。家計や保険を見直した方が良い気がしますがどうでしょうか?(40代・会社員・男性)
- FIRE
- ライフプラン
- 家計見直し
- 資産運用
相談者:45歳男性(会社員) 妻:45歳女性(会社員) 子:なし
本人年収(額面):800万円 配偶者年収(額面):400万円
金融資産:運用額6,000万円(運用益による収入:税抜き150万円)、預貯金1,000万円
退職金:500万円
毎月の生活費:35万円(賃貸・家賃10万円)
加入保険:1,000万円(終身保険)
45歳で7,000万円の金融資産を持ち、年間150万円の運用益を得ているのは素晴らしい成果です。
サイドFIREを目指す上で、良い出発点かもしれません。
課題の整理:家計の見直し
サイドFIREをして今後の生活が維持できるのか、維持するためにはどうすればよいか課題を整理しました。
1.支出の最適化
現在の毎月の生活費35万円は、年間420万円ほどです。
賃貸にお住まいの場合は、今後の更新料がかかりますし、ご家族に不測の事態が起これば金融資産を取り崩すことになるかもしれません。
サイドFIREを実現するには、この支出をさらに減らせないか「家計収支」の見直しが必要です。
例えば、家賃10万円は妥当ですが、その他の支出25万円の内訳を精査し、ムダな支出がないか確認するとともに、緊急予備資金の確保も重要です。
2.収入源の多様化
サイドFIREは、経済的自立と早期退職を目指すFIRE(Financial Independence, Retire Early)の一種で、より柔軟なアプローチを取るライフスタイルです。
現在の運用益150万円に加えて、フリーランスや副業などで追加の収入をどう得ていくのか、ご自身の「将来計画」を明確にする必要があります。
サイドFIREに必要な資産運用額は、個人の生活スタイルや目標によって異なりますが、実は一般的な計算方法があります。
サイドFIREに必要な資産運用額=(年間生活費−年間労働収入)×25倍
これは「4%ルール」に基づいており、資産を年4%で運用しつつ、生活費を資産の4%以内に抑えれば、資産が減らないという考え方です。
例えば、相談者本人の現状のデータから概算値を出すと、年間生活費420万円、年間運用収益150万円(税引き前)なので、(420万円 – 150万円) ✕25 = 6,750万円 です。
退職金500万円も運用すれば、数字上ではサイドFIREの準備ができていることになります。
3.資産配分の見直し
サイドFIREしても一見問題なさそうに見えますが、現状は税引き前で3%程度の運用効率です。
金融資産の投資配分を見直し、リスクとリターンのバランスを最適化することで、より高い運用益を目指せる可能性があります。
課題の整理:保険の見直し
サイドFIRE後は会社の健康保険から外れるため、公的医療制度の保障が少なくなります。万一の際に資産を極力取り崩さないですむにはどうすればよいか課題を整理しました。
1. 終身保険の見直し
加入した当初は、貯蓄と万一の保障を叶えるメリットから「終身保険」で良かったかもしれませんが、妻が会社員として働いていることや子どもがいないことを考慮すると、相談者が働けない状態になった際に備える保障を検討した方が良さそうです。
また、終身保険には、「払済保険(=保険料の払込みを中止し、その時点での解約返戻金を元に保障額を減らして継続する方法)」という方法があります。
「払済保険」にするとどうなる?
✓保険料の負担がなくなる
✓解約返戻金は引き続き運用される
✓減額された保障額で保障継続される
✓医療保障などの特約は失効する
✓一部の保険で対応していない
払済と解約のどちらが有利か、下記2点を必ず確認しましょう。
!確認ポイントはこの2点!
✓(解約した場合)解約返戻金がいくら戻ってくるのか
✓(払済にした場合)死亡保障額はどのくらいか
2.医療保険の検討
サイドFIRE後は会社の健康保険から外れるため、予期せぬ医療費が家計を圧迫します。金融資産取り崩しリスクを軽減するためにも、医療保険・がん保険等の医療保障への加入は必要です。
2025年8月には高額療養費制度の上限額引き上げ改正案が浮上しており、通院治療や日帰り入院や手術等に対応する保険は加入した方が安心です。
3.相続対策の検討
家族構成を確認したところ、お二人とも兄弟がいらっしゃり、両親ご健在でした。
順番からいえば、ご両親の相続について確認した方がよく、相談者についてはすぐに対策する必要はないと判断しました。
ご提案プラン
今後のライフプランが明確になっていないため、“会社員として仕事を続けた場合”と“サイドFIREをした場合”の2パターンでライフプランシミュレーションをし、課題解決に向けた提案ポイントは下記のとおりです。
提案ポイント1|資産配分の見直し
・不労所得の運用効率を4%程度に上げる
・アセットアロケーションの組み換え(株式・投資信託・債券・ETF・不動産投資など)
・NISA、iDeCoの活用を検討
提案ポイント2|医療保障の追加
・サイドFIREしなくても終身保険を「払済」に切り替え
・ご夫婦とも医療保障に加入(終身保険の保険料分で賄える)
・サイドFIREした場合は、就業不能保険に加入予定
提案ポイント3|サイドFIRE決断にあたっての追加提案
1. 緊急資金の確保
預貯金1,000万円は、緊急時の資金として確保。
2. 退職のタイミング
現在の年収が高いため、すぐに退職するのではなく、数年間さらに資産を積み増すことも検討。
例えば、50歳までに資産を1億円に増やすという目標を提案。
3. 配偶者との計画共有
サイドFIREは夫婦で取り組むべき重要なライフプランのため、ご夫婦で十分に話し合うことを推奨。
4. 税金対策
運用益に対する税金を最小限に抑えるため、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)活用を提案。
サイドFIREを目指す際は、自身の理想的な生活スタイルを明確にし、それに基づいて必要な資産額を計算することが重要です。
弊社では、資産運用のプロが担当について、ご相談者がより豊かな人生を送れるよう常にサポートしていますので、お気軽にご相談ください。